認知症の3つの症状-中核症状について
みなさんこんにちわ、奈良岡です。
今日は認知症の3つの症状と、中核症状を深掘りしてまとめていきます。
3つの症状
<中核症状>
脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状を「中核症状」と呼びます。
記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下などが、これにあたります。
<行動・心理症状>
中核症状に対し、本人の性格、環境、人間関係などの要因が絡み合って、精神症状や日常生活における行動上の問題が起きてくることがあり、「行動・心理症状」と呼ばれます。
*詳しくはこちら
認知症の行動・心理症状とその支援について。 - Nara BLOG
<その他身体的症状>
このほか、認知症にはその原因となる病気によって多少の違いはあるものの、様々な身体的症状もでてきます。
とくに脳血管性認知症の一部では、早い時期から麻痺などの身体症状を合併することもあります。アルツハイマー型認知症でも、進行すると歩行が上手くできなくなり、終末期まで進行すれば寝たきりになってしまう人も少なくありません。
*詳しくはこちら
中核症状について
1.記憶障害
脳は、目や耳などから入るたくさんの情報のうち、必要なものや関心があるものは一時的に蓄え、大事な情報は忘れないように長期間保存するようにできています。
しかし、脳の一部の細胞が壊れ、その働きを失うと、覚えられない、すぐ忘れるといった記憶障害が起こります。
加齢によるもの忘れと記憶障害との違い
<加齢によるもの忘れ>
・経験したことが部分的に思い出せない。
・目の前の人の名前が思い出せない。
・物の置き場所を思い出せない。
・何を食べたか思い出せない。
・約束をうっかり忘れてしまう。
・物覚えが悪くなったように感じる。
・曜日や日付を間違えることがある。
<認知症の記憶障害>
・経験した事全体を忘れている。
・目の前の人が誰なのかわからない。
・置き忘れ・紛失が頻繁になる。
・食べたこと自体を忘れている。
・約束したこと自体を忘れている。
・数分前の記憶が残らない。
・月や季節を間違えることがある。
2.見当識障害
見当識とは、現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど、基本的な状況を把握することです。
1.時間
見当識障害は、時間や季節感の感覚が薄れることから現れます。
・長時間待ったり、予定に合わせて準備することが出来なくなります。
→何回も時間を聞いたりします。
・進行すると日付や季節、年次の感覚も薄れてきます。
→季節感のない服を着たり、自分の歳がわからなくなったりします。
2.場所
道に迷ったり、遠くに歩いていこうとします。
初めは→方向感覚が薄らいでも、周囲の景色をヒントにすれば道を間違えることはありませんが、暗くなると道に迷うことになります。
進行すると→近所でも道に迷ったり、夜自宅のお手洗いの場所がわからなくなったりします。
→到底歩いていけないような距離を歩いて出かけようとするようになります。
3.人物
人間関係の見当識はかなり進行してから現れます。
・周囲の人との関係がわからなくなります。
→80歳の人が50歳の娘にむかって、おばさんと呼んだりします。
→亡くなっているはずの母親が心配しているからと、遠く離れた故郷の実家に歩いて帰ろうとします。
*過去に獲得した記憶を失う段階まで進行することにより起きる症状です。
3.理解・判断力の障害
認知症になると、ものごとを考えたり判断にも支障が出てきます。
・考えるスピードが遅くなります。→急がせない。
時間をかければ自分なりの結論に至ることが出来ます。
・2つ以上のことが重なるとうまく処理出来ない。→シンプルに伝える。
1度に処理出来る情報の量が減ります。念を押そうと長々と説明すると、ますます混乱します。必要な花はシンプルに表現することが重要です。
・いつもと違う出来事で混乱しやすくなります。→補い守る。
お葬式での不自然な行動や、夫の入院で混乱してしまったことから認知症が発症する場合があります。
予想外のことが起こった時、補い守ってくれる人がいれば、日常生活は継続できます。
・目に見えない仕組みが理解出来なくなります。
→自動改札機や交通機関の自動改札、銀行のATMなどの前ではまごまごしてしまいます。
→全自動洗濯機、火が目に見えないIHクッカーなどもうまく使えなくなります。認知症になってからの買い替えは混乱を招く事になります。
・「倹約は大切に」と言いながらセールスマンの口車にのって高価な羽毛布団を何組も買ってしまうということも起こります。(観念的な事柄と具体的なことが結びつかない。)
4.実行機能障害
健康な人は、頭の中で計画を立て、たとえ予想外の出来事が起きても、適切に処理することができます。認知症になると、計画を立てたりすることが出来なくなり、日常生活を首尾よく営めなくなります。
・健康な時であれば…
スーパーで大根を見て、味噌汁を作ろうと思ったら、「冷蔵庫に油揚げがあったから一緒に入れよう」と考えて買い物をします。
・実行機能障害が起きると…
冷蔵庫の油揚げの存在を忘れているので、大根も油揚げも買ってしまいます。
夕食の準備に取り掛かったときには、買ってきた大根も油揚げも忘れて、冷蔵庫を開けて目に入った別の食材で味噌汁を作ります。
このようなことが繰り返され、油揚げが冷蔵庫にあふれるといったことになります。
→同じ食材が冷蔵庫にたまりだしたら注意して見守りましょう。
保たれている能力を活用する支援を
→そばで見守り、声をかける人がいれば、料理を作ることは出来ます。
「今日の味噌汁は、大根と油揚げだね。」
「炊飯器のスイッチはそろそろ入れた方がいいかな?」
と言ってくれる人がいれば、食事の準備が出来ます。ちょっとした支えで、認知症の人には出来る事がたくさんあります。
5.その他(感情表現の変化など)
認知症による記憶障害、見当識障害、判断障害のため、周囲からの刺激や情報に対して正しい解釈ができなくなることがあります。
認知症になるとその場の状況が読めなくなったりします。
認知症の人は周囲の人が予測しない、思いがけない感情の反応を示すことがあります。
(例)「そんな馬鹿な!」という言葉を、その場の状況を読めないで、自分が「馬鹿」と言われたと思い、怒りだしてしまうということが起こる場合があります。
→認知症の人の特徴をわかっていれば、本人にとっては不自然な感情表現ではありません。認知症を理解するということの一例です。
まとめ
認知症の人や家族を支える手だけを私たちみんなが知っていれば、「尊厳ある暮らし」を守る事が出来ますよね。
まずは誰もが認知症について正しい知識をもつことからはじめてみましょう。
今日は以上。